財形年金シリーズの出口編です。前回(先輩の「重点で掛けた方がお得」は本当だった)で、掛け方と「解約しない逃げ道」を見ました。今回はいよいよ、いちばん気になるところ——「これだけ積んで、結局いくら受け取れるのか」。そして、受け取り方で変わる税金と、「解約していい唯一のケース」をお伝えします。
結局いくら?——受け取り方で月2万〜8万円(我が家の原資で試算)
財形年金は「60歳以降に年金として分割で受け取る」もの。実は受け取り方を選べて、それによって月いくら・何年もらえるかが大きく変わります。我が家のパンフレットで、受け取り原資が550万円になったケースを試算してみました(あくまで一例です)。
| 受け取り方 | 月あたり | 受取期間 | 受取総額の目安 |
|---|---|---|---|
| 6年確定 | 約7.9万円 | 6年で終わり | 約565万円 |
| 10年確定 | 約4.8万円 | 10年で終わり | 約579万円 |
| 15年確定 | 約3.3万円 | 15年で終わり | 約596万円 |
| 10年保証終身 | 約2.1万円 | 一生(最低10年保証) | 長生きするほど増える |
ここで現実が見えてきます。
- 長く受け取るほど、月あたりは薄くなる(6年なら月8万円近いが、終身だと月2万円)
- 総額は原資(550万円)をやや上回る程度。受け取り期間中も残りに利息はつきますが、利率が低いので大きくは増えません
- つまり「これだけ長く積んでも、受け取りは月2〜8万円」。公的年金にちょっと上乗せする“補助輪”——という基礎編の結論が、金額で裏づけられます。
ちなみに、これが財形年金単体のほぼ上限です。非課税の枠(払込385万円)いっぱいまで積んでも、受け取れるのは6年確定で月8万円弱が天井。どれだけ頑張っても、財形年金だけでこれ以上は望めません——だからこそ「補助輪」なのです。
どの受け取り方を選ぶ?
正解は人それぞれですが、考え方の軸はこうです。
- 早く厚く欲しい(退職直後〜公的年金が始まるまでのつなぎ)→ 6年・10年確定
- 長く薄く、長生きリスクに備えたい→ 終身タイプ
- 受給開始は60〜65歳から選べます(最近の制度改正で幅が広がりました)。受け取りを遅らせるほど、据置期間に利息がついて原資が増える
非課税は「出口まで乗り切った人へのご褒美」
基礎編で「利息が非課税」と書きました。でもこれは、正しく年金として受け取った場合の話です。
- 年金として要件どおり受け取れば:利息も年金も非課税(申告も原則不要)
- 途中で解約すると:非課税メリットは消え、解約返戻金は一時所得として課税対象に(50万円の特別控除があり、超えた分の半分が課税)
- 万が一のときに遺族が受け取るお金(死亡給付金)は、相続税の対象になります
つまり非課税は「最後まで制度に乗り切った人へのご褒美」。だからこそ、掛金が苦しくても前回書いたとおり解約ではなく減額で乗り切るのが基本です。
それでも「解約が正解」になる唯一のケース
解約はもったいない——が基本。でも、1つだけ解約が数字的に正解になる状況があります。それは「財形より高い利率の借金があるとき」です。
我が家の実話ですが、以前、車をローンで購入したことがありました。あるとき、その車のローンの金利が、財形年金の実質利回り(年1%弱)よりずっと高いことに気付きました。
- 財形で年1%弱で「貯めながら」、ローンに数%の金利を「払う」——これは確実に損
- そこで財形年金を解約し、そのお金でローンを早期に一括返済しました(実際は数ヶ月で完済)
- 非課税メリットは失いましたが、高い金利の支払いをなくす効果の方が大きかった
判断基準はシンプルです。「解約して得られるお金で消せる借金の金利 > 財形の利回り」なら、解約して借金を返す方が得。逆に、高い金利の借金がないなら、解約はやはりもったいない選択です。
補足ですが、我が家はこの後積み立てていた同額を毎月預金していき、現在は違うやり方で将来設計しています。これについては別記事で。
我が家の整理——まとめ
- 受け取りは原資550万円でも月2〜8万円。公的年金への上乗せ=補助輪と割り切る
- 受け取り方は「つなぎ重視なら確定・長生き備えなら終身」。受給開始を遅らせると原資が少し増える
- 非課税は出口まで乗り切った人のご褒美。苦しいときは解約でなく減額
- 解約が正解なのは「財形より高い金利の借金があるとき」だけ
ここまでで、財形年金そのものは一通り見えました。では——「増やす」のはどうすればいい?次回からは、いよいよNISAとの使い分けに入ります。財形の年1%弱と、NISAの世界。同じ「非課税」でも何が違うのか。我が家がジュニアNISAでたどった実話も交えてお話しします。
※本記事は我が家の制度パンフレットと家計の整理をもとにした個人の記録です。利率・年金額・非課税枠・税制は、勤務先や時期、商品のタイプ、個々の状況によって異なります。受け取り方・解約・税金の判断は、お勤め先の最新の案内と公式情報、必要に応じて税務署や専門家にご確認ください。