2026年9月1日、長期金利(新発10年物国債の利回り)が一時3.0%を超えました。1996年以来、30年ぶりの水準です📈
ニュースを見て、我が家でも「個人向け国債を買えば3%で運用できる?」と思って調べました。結論は違いました。9月募集分の個人向け国債は、変動10年1.95%・固定5年2.24%・固定3年1.96%です。
この記事では、なぜ「3%」が「1.95%」になるのか、固定5年のほうが数字は高いのになぜ変動10年を選ぶのか、そして職場の財形年金(予定利率1.2%)とどちらが有利なのかを、財務省の一次情報をもとに整理しました。
📰「30年ぶりの3%」の正体
ニュースの3%は、新発10年物国債の市場利回りです。機関投資家が市場で売り買いする国債の価格から逆算した数字で、日々動きます。
一方、私達が証券会社や銀行の窓口で買う「個人向け国債」は、同じ国債でも別の商品です。額面100円で買って、満期にも中途換金でも額面100円で国が引き取ります。値段が上下しない代わりに、利率は市場の国債とは別の計算式で決まります。
つまり「国債が3%」という見出しは、個人向け国債の利率が3%になったという意味ではありません。ここを混同すると、窓口で数字を見て「あれ?」となります。
🏦いま買える個人向け国債の数字(2026年9月募集分)
| 種類 | 適用利率(税引前) | 税引後 | 前月比 |
|---|---|---|---|
| 変動10年 | 1.95% | 約1.55% | +0.08 |
| 固定5年 | 2.24% | 約1.78% | +0.18 |
| 固定3年 | 1.96% | 約1.56% | +0.25 |
募集期間は9月3日(木)〜9月30日(水)、発行日は10月15日(木)。1万円から1万円単位で買えます。3種類とも前月から上がっていて、固定3年の上げ幅が最も大きくなっています。
出典:財務省「個人向け国債」発行条件(変動10年 第198回・固定5年 第186回・固定3年 第196回)。税引後は20.315%の税金を差し引いた財務省公表値を小数第2位で丸めています。
🔢なぜ3%が1.95%になるのか
個人向け国債の利率は、市場の金利(基準金利)をもとに、決まった計算式で機械的に決まります。
- 変動10年:基準金利 × 0.66(基準金利=直近の10年国債入札の平均落札利回り)
- 固定5年:基準金利 − 0.05%(基準金利=5年国債の想定利回り。今回は2.29%)
- 固定3年:基準金利 − 0.03%(基準金利=3年国債の想定利回り。今回は1.99%)
- どれも下限は年0.05%
変動10年だけ「掛け算」で、しかも0.66です。10年債の利回りが3%近くでも、その約3分の2の1.95%になるのはこのためです。
残りの34%は、元本保証と「1年たてばいつでも額面で換金できる」安心の対価と考えると腑に落ちます。市場の国債は金利が上がると値下がりしますが、個人向け国債にはそれがありません。
⚖️固定5年2.24%のほうが高いのに、なぜ変動10年か
表を見ると、固定5年のほうが変動10年より0.29ポイント高い。100万円なら年2,900円(税引前)の差です。それでも我が家としては変動10年を選ぶ考えです。理由は3つあります。
① 金利は上がる方向に動いている
日銀の利上げが続くという見方が多く、政策金利が2.5%に達するシナリオを語る声もあります。変動10年は半年ごとに利率が見直されるので、金利が上がればそのまま追いかけます。
計算すると、基準金利が3.4%を超えた時点で変動10年の利率は2.24%を追い抜きます(3.4 × 0.66 = 2.244)。10年債がすでに3%の今、あと0.4ポイントです。
② 固定5年は5年間ロックされる
固定5年は満期まで2.24%のままです。金利がどれだけ上がっても恩恵はありません。「じゃあ上がったら乗り換えればいい」と思うかもしれませんが、中途換金には直前2回分の利子相当額 × 0.79685が差し引かれます。100万円を固定5年で持っていた場合、およそ17,800円です。
③ どちらも元本は保証されている(ここは誤解が多い)
「金利上昇局面で固定金利の国債を買うと元本割れする」という話を聞いたことがあるかもしれません。それは市場で売買する国債(新窓販国債など)の話で、個人向け国債は固定型も変動型も額面100円で国が引き取ります。元本割れはしません。
だから固定5年を避ける理由は「元本割れ」ではなく、「金利の方向に乗れないうえに、乗り換えにコストがかかる」ことです。今この瞬間の数字が高いほうより、金利の方向に自動で乗れるほう。それが変動10年を選ぶ理由です。
🧭我が家の立場:増やすのはNISA、守るのは変動10年
お金の置き場所については、我が家なりに整理すると、こうなります。
- 増やすお金=NISAのインデックス投資に一本化する。以前の記事で書いた「統計的勝率のお金」です
- 守るお金(生活防衛資金・数年以内に使う予定のお金)=置き場所が必要なら個人向け国債の変動10年。元本保証・金利に追随・1年たてば換金できる
- 預金金利の0.1%差は追いかけない。100万円で年1,000円のために口座を増やして管理を複雑にするより、シンプルさを優先する
国債の金利が上がったからといって、「増やすお金」を国債に寄せることはしません。役割が違うからです。国債はあくまで「守るお金」の置き場所で、その置き場所の中でいちばん条件がいいのが今は変動10年、という位置づけです。
💼職場の財形年金(予定利率1.2%)と比べると
我が家の職場には財形年金があり、予定利率は1.2%、手数料などを差し引いた実質は約0.9%です(基礎編で検証しました)。財形年金には元利合計550万円まで利子が非課税という強みがあります。
それでも、変動10年は税引後で約1.55%。財形の実質0.9%を上回ります。しかも金利が上がる局面では、この差は開いていきます。
ただし、財形の価値は利率ではなく「給与天引きで、意思の力を使わずに貯まる仕組み」にあります(総集編)。利率で選ぶなら国債、仕組みで選ぶなら財形。どちらか一方が正解というより、役割を分けて考えるのが我が家の整理です。財形を解約するかどうかは、出口編で書いた「解約していい唯一のケース」に当てはまるかで判断しています。
🛒買い方と注意点
- 証券会社や銀行で買えます(国債用の口座開設が必要。ネット証券ならオンラインで完結!我が家はこれです)
- 1万円から1万円単位。今回の募集は9月3日〜30日、発行は10月15日
- 毎月募集があるので、今月を逃しても翌月に買えます。ただし利率は毎月変わります
- 中途換金は発行後1年たってから。差し引かれるのは直前2回分の利子相当額 × 0.79685で、元本は額面どおり戻ります
- 利子は年2回、受け取り時に20.315%の税金が引かれます
最新の利率と募集期間は財務省の個人向け国債ページで確認できます。
✅まとめ
- 「国債3%」は市場の10年債の話。買える個人向け国債は1.95〜2.24%
- 差の正体は計算式(変動10年は基準金利 × 0.66)。元本保証と換金のしやすさの対価
- 固定5年は元本割れしないが、5年ロック+乗り換えコストがある。金利が上がる局面は変動10年
- 増やすのはNISA、守るのは変動10年、財形は「仕組み」で選ぶ
金利がある世界に戻ってきたことで、「守るお金」の置き場所にも選択肢が出てきました。数字に振り回されず、役割で分ける。わが家はそう考えています🏠
※本記事はわが家の考え方の整理であり、特定の金融商品の推奨ではありません。数値は2026年9月募集分(財務省公表)で、利率は毎月変わります。投資の判断はご自身の責任でお願いします。