7月の電気代をまとめたとき、わが家の日産サクラの平均電費は6.95km/kWhでした。6月は8.0だったので、まるっと1以上のダウンです。
「まあ、あの猛暑だもんね」
そう思って片づけようとしたんですが、1か月分の記録を並べ直していて手が止まりました。涼しい日なのに電費が伸びていない日があるんです。しかも、同じ日・同じ道なのに行きと帰りで1.7倍も違う日まで出てきました。
前回の「雨の日はEVの電費が悪い」は本当か?という記事では、犯人は雨ではなく気温だった、という結論を出しました。でも7月のデータを見ると、どうやら気温だけでもないらしい。
今回は、気温以外に夏の電費を決めていた2つの要因を、7月の実測データで洗い出してみます。
⏰ 決定的だった1日、同じ道なのに8.6と5.0
7月31日。この日は早番で、家を出たのが深夜3時1分でした。
- 往路:3:01出発・30℃・31km → 8.6km/kWh
- 復路:13:06出発・37℃・33km → 5.0km/kWh
同じ日、同じ人、同じ車、同じ通勤路。違うのは走った時間帯だけです。それで1.7倍の差がつきました。
ちなみにこの記事の電費は、すべて残量パーセントから逆算した実測値です。メーターに出ている平均電費の表示は前回リセットしてからの累積なので、その日の実態とはかなりズレます(メーター表示の正体を145回分の写真で調べた記事もあります)。
🔁 実は3日連続で、同じことが起きていた
7/31がたまたま特別な日だったのかというと、そうでもありませんでした。7月下旬の「往路 vs 復路」を並べるとこうなります。
| 日付 | 往路 | 復路 | 差 |
|---|---|---|---|
| 7/22 | 深夜2:45発/31km → 8.2 | 14:04発/39km → 3.9 | 2.1倍 |
| 7/30 | 6:19発/32km → 8.9 | 17:32発/34km → 6.3 | 1.4倍 |
| 7/31 | 3:01発/31km → 8.6 | 13:06発/33km → 5.0 | 1.7倍 |
朝は8台、昼過ぎは3〜6台。判で押したように同じパターンです。
ここまでなら「やっぱり気温でしょ」で終わる話でした。ところが。
🤔 涼しいのに、電費が伸びなかった日
7月の終わりに、気温がほとんど同じ2日がありました。
| 日付 | 天気・気温 | その日の内容 | 1日の電費 |
|---|---|---|---|
| 7/27 | 曇り 25→27℃ | まっすぐ通勤往復 | 9.0 |
| 7/28 | 曇り 24→26℃ | 通勤+帰りに買い物で遠回り | 7.4 |
涼しいほうの7/28が負けています。しかも7/28を行きと帰りに分けると、朝のまっすぐな通勤は8.2出ているのに、帰りだけ7.0に落ちている。
この日の帰り道、工事の片側交互通行が4か所ありました。そのうえスーパーに寄るので遠回り。つまり止まっては進み、を延々くり返したわけです。
気温では説明がつきません。ここから、原因が2つあることが見えてきました。
🚦 犯人①:渋滞とストップ&ゴー
改めて、7月で電費が落ち込んだ日を並べてみます。
- 7/20:猛暑38℃・大会の送迎・渋滞のストップ&ゴー → 3.7
- 7/22:退勤後、工事渋滞にはまって39km → 3.9
- 7/17:待ち時間のあと、あちこち寄り道 → 5.5
- 7/28:涼しいのに、帰りだけ工事規制4か所 → 7.0
ガソリン車でも渋滞は燃費が悪くなるので「そりゃそうだ」と思うかもしれません。でもEVの場合、理由が少し違います。
EVは止まっている間、走るための電気をほとんど使いません。アイドリングがないからです。じゃあ何を食べているかというと、エアコンです。
渋滞にはまっている間、距離は1kmも伸びないのに、エアコンだけはずっと回り続ける。電費は「走った距離 ÷ 使った電気」ですから、分母だけが増えていくわけです。
夏の渋滞がEVにとってつらいのは、進まないのに冷やし続けなければいけないからなんですね。
☀️ 犯人②:炎天下に停めた車を、もう一度冷やす電気
もうひとつが、駐車でした。
7月30日、帰りに車に乗り込んだときの外気温表示が41℃。7月22日には46℃という表示も出ています。これは実際の気温ではなく、炎天下に停めておいた車にこもった熱です(その日の実際の最高気温は31℃と33℃でした)。
この状態から走り出すと、最初の数分はエアコンが全力で車内を冷やします。この「冷やし直し」の電気が、思った以上に効きます。7/30が往路8.9・復路6.3と差がついたのは、まさにこれでした。
そして、ここが今回いちばん面白かったところです。
冷やし直しのコストは「1回あたり」でほぼ決まっているので、走る距離が短いほど不利になります。7月の短距離の日を見てください。
| 日付 | 距離 | 内容 | 電費 |
|---|---|---|---|
| 7/23 | 31km | 猛暑・大会の送迎・3名乗車 | 4.8 |
| 7/24 | 9km | 猛暑33℃・外食と習い事の送迎 | 5.0 |
| 7/29 | 17km | 猛暑32℃・送迎を1日に何度も | 4.3 |
| (参考)7/21 | 125km | 猛暑38℃・高速道路・エアコン最大 | 6.4 |
いちばん下の行を見てください。猛暑38℃の高速道路を125km走った日のほうが、猛暑32℃の街中を17km走った日より電費がいいんです。
高速道路は空気抵抗が大きくて、EVがいちばん苦手とする走り方のはずです(満充電から125km・残量2%まで使い切った日の記録はこちら)。それでも6.4。一方、送迎で1日に何度も乗り降りした7/29は4.3でした。
理由はシンプルで、7/29は「炎天下に停める→冷やし直す」を何回もくり返しているからです。高速の日は、1回冷やしたらあとは125km走り続けるだけ。冷やし直しのコストが、長い距離で薄まってくれます。
💡 2つの原因は、実は同じ顔をしていた
ここまで来て気づいたのは、①渋滞も②冷やし直しも、結局は同じことを言っているということでした。
夏の電費を決めているのは気温そのものではなく、「1kmあたり、エアコンが全力で回った時間がどれだけあったか」
- 渋滞:距離が進まないのに、エアコンの時間だけが増える
- 短距離の送迎:全力で冷やす数分が、短い距離で割られる
- 炎天下駐車:その「全力で冷やす数分」自体が長くなる
気温は、この式の一部でしかなかったわけです。だから涼しい日でも渋滞にはまれば落ちるし(7/28)、猛暑でも長い距離を淡々と走れば意外と粘る(7/21)。
🛠 じゃあ、どうすればいいのか
犯人の顔がわかったので、わが家で実際にやっていること・これから試すことを4つ。
① タイマーエアコンで、出発前に冷やしておく
サクラには、設定した時刻に合わせてエアコンを効かせておく機能があります。充電ケーブルをつないだままなら、この冷やす電気は家のコンセントから出ていくので、走行用のバッテリーが減りません。
乗り込んだ瞬間から涼しくて、しかも電費にも効く。夏はこれがいちばん割のいい対策だと思います。
② サンシェードと、日陰を1分だけ探す
車内41℃を30℃台に下げるだけで、冷やし直しの時間が変わります。「屋根のある駐車場を選ぶ」「炎天下なら1本奥の日陰に停める」くらいで十分効きます。
③ 用事はまとめて、1回で回る
7/29の4.3が教えてくれたのは、短距離を刻むのがいちばん高くつくということでした。送迎と買い物を別々に出るより、1回のドライブでつなげたほうが電費は伸びます。
④ ずらせる予定は、朝か夕方に
7/31が証明したとおりです。同じ道でも、早朝なら8.6、真昼なら5.0。買い物の時間を2時間ずらせるなら、それだけで効果があります。
🌤 それでも、夏に9台は出る
暗い数字が続いたので、最後に明るいデータを。
- 7/18(曇り・25→30℃・まっすぐ通勤)→ 9.1km/kWh
- 7/27(曇り・25→27℃・まっすぐ通勤)→ 9.0km/kWh
猛暑だった7月でも、曇りで、まっすぐ走って、日陰に停めれば9台は出ます。7/29の4.3と比べると2倍以上。同じ月・同じ車の話です。
つまり夏の電費は「暑いから諦めるもの」ではなくて、けっこうこちらの走り方と停め方で動かせるということでした。7月の平均が6.95まで落ちたのは、猛暑のせいが半分、残りの半分はわが家の使い方だったのかもしれません。
7月まるごとの電気代と走行距離は7月の電気代まとめ記事に、日々の実測データはEV実測データのページに置いています。
❄️ まとめと、冬編の予告
- 夏の電費を決めるのは気温だけではなく、渋滞と炎天下駐車の冷やし直しも同じくらい効く
- 同じ日・同じ道でも、時間帯が違うだけで1.7倍の差がついた(7/31)
- 涼しい曇りの日でも、渋滞と寄り道が重なれば落ちる(7/28)
- 猛暑の高速125kmより、猛暑の街中17kmのほうが電費は悪い(6.4 vs 4.3)
- 対策は「出発前に冷やす・日陰に停める・用事はまとめる・時間帯をずらす」
一般に、冬の暖房は夏の冷房よりも電気を使うと言われています。同じ検証を冬にやったら、もっと極端な数字が出るかもしれません。そのときはまた、実測データを持って戻ってきます。
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