EVに乗っていて、いちばん気になるのがメーター左下の「航続可能距離」ではないでしょうか🔋

「あと〇〇km」と出ていても、走り出すと思ったより早く減っていく。逆に、エアコンを切ったら急に増えたりする。EV乗りの間では「ゲスメーター(guess-o-meter=推測計)」と呼ばれて、あまり信用されていない数字でもあります😅

ではあの数字、いったい何をもとに計算されているのでしょうか?

画面には「平均9.4km/kWh」と電費も表示されています。素直に考えれば「残量 × 平均電費」で出していそうですが……実はまったく違いました。

わが家は日産サクラの走行データを毎日記録していて、メーターの写真が3か月分溜まっています。そこで145回分の実測データを使って、この数字の正体を調べてみました📊

🔍 まず結論:表示されている「平均電費」は使っていない

いちばん簡単な検算から。ある日のメーターはこうでした。

バッテリー残量91%で航続可能距離148km、平均電費9.4km/kWhと表示されたサクラのメーター
残量91%で航続148km。画面の平均電費は9.4km/kWhと出ていますが……
  • バッテリー残量:91%
  • 航続可能距離:148km
  • 画面の平均電費:9.4km/kWh

サクラのバッテリーは20kWhなので、残量91%なら18.2kWh。もし画面の平均電費9.4で計算しているなら——

18.2kWh × 9.4km/kWh = 171km と表示されるはず

ところが実際の表示は148km。ぜんぜん違います。

逆算すると、車は148 ÷ 18.2 = 約8.1km/kWhという数字を使って計算していることになります。画面に出ている9.4ではありません。

つまり「画面の平均電費」と「航続距離の計算に使う電費」は別物だったんです。

📊 3か月・145回分のデータで調べてみた

1回だけではたまたまかもしれないので、2026年4月20日〜7月24日の145回分のメーター写真から、残量と航続表示を全部拾って逆算してみました。

計算式はさきほどと同じです。

車の想定電費 = 航続可能距離 ÷(残量% × 20kWh)

結果は以下の通りです。

項目
画面の表示平均電費9.4〜10.4(ほとんど動かない)
車が実際に使っている想定電費6.4〜8.8(よく動く)

やはりまったく別の数字になりました。画面の平均電費はリセットしない限りほぼ動かないので、航続距離の計算には使いようがない、ということですね。

🧠 実は賢い。車は「直近の実際の走り」を追っていた

では車は何を見ているのか。その月の実際の電費と比べてみたところ、驚きの結果が出ました。

車の想定電費実測の電費
2026年4月7.828.28−0.46
2026年5月8.017.69+0.32
2026年6月7.957.78+0.17
2026年7月7.666.94+0.73

見てのとおり、車の想定は実測とかなり近いんです。画面の表示平均(約10)ではなく、実際の走り(7〜8)に沿って動いています

「推測計」なんて呼ばれていますが、実際にはかなり真面目に直近の走りを追いかけている——これは正直、見直しました😳

ちなみに1日のうちでの変動はごくわずか(平均0.26程度)でした。急に跳ね上がったりせず、ゆるやかに実績を反映していく設計のようです。

☀️ ただし夏は「楽観的」になる——ここが実用上いちばん大事

表をもう一度見てください。7月だけ差が+0.73と大きく開いています

これはつまり、車は実際より1割ほど「多く走れる」と見積もっているということ。

猛暑でエアコンをフル稼働させると電費は一気に落ちますが、車の推定はその急落に追いつけていないんですね。ゆるやかに追従する設計が、ここでは裏目に出ます。

実際わが家も、7月に高速で125km走って残量2%という、かなりヒヤヒヤする経験をしました。あのとき「表示ほど走れないな」と感じたのは、気のせいではなかったわけです💦(詳しくは高速で何km走れるか実測した記事に書いています)

夏に遠出するときは、航続表示を1割ほど割り引いて考える。これが今回のデータから言える、いちばん実用的な結論です。

🌡️ 満充電の航続表示も、季節でこれだけ動く

残量100%のときの航続表示だけを抜き出すと、季節による違いがはっきり出ました。

満充電時の航続表示
2026年4月152km
2026年5月159km
2026年6月158km
2026年7月146km

涼しい5〜6月は159km前後、猛暑の7月は146km13kmほど縮んでいます

気温16℃の5月、満充電100%で航続可能距離162kmと表示されたメーター
5月・気温16℃の日。満充電で162kmと表示されました(5月の平均は159km)
気温33℃の猛暑日、満充電100%でも航続可能距離が129kmまで下がったメーター
7月・気温33℃の日。同じ満充電でも129km(7月の平均は146km)。日によってはこれだけ開きます

同じ「満充電」でも、季節によってこれだけ表示が変わるわけです。気温と電費の関係については雨の日と猛暑を比べた記事でも詳しく検証しています🌦️

⚠️ この検証の前提と限界(正直に書きます)

データを扱う記事なので、前提もはっきり書いておきます。

  • 逆算はバッテリー容量20kWhを基準にしています。わが家のサクラはLeafSpyで測ったSOHが91.5%なので、実容量18.3kWhで計算すると想定電費は平均8.63になります(20kWh基準では7.90)。絶対値は前提しだいで変わります
  • ただし「表示平均とは別物」「月ごとの傾向」「夏は楽観的」という結論は、どちらの基準でも変わりません
  • 日産は算出アルゴリズムを公開していません。この記事はあくまで実測からの推定で、断定するものではありません
  • 気温はメーター表示の外気温を使っています
  • データは2026年4〜7月のもの。暖房を使う冬は未検証です

✨ まとめ:航続表示との付き合い方

145回分のデータから分かったことをまとめます。

  • 画面の「平均電費」は航続距離の計算に使われていない(まったく別の数字)
  • 車は直近の実際の走りを追いかけて計算している=思ったより賢い
  • 夏は1割ほど楽観的に出る。遠出のときは割り引いて考える
  • 満充電の表示も季節で13kmほど変動する(5月159km→7月146km)

「あてにならない」と言われがちな航続表示ですが、クセを知っていればけっこう頼れる相棒です。少なくとも「表示平均を見て安心する」のは意味がない、ということは覚えておいて損はないと思います😊

❄️ 次は暖房を使う冬に同じ検証をしてみる予定です。エアコン以上に電気を食う暖房で、車の推定がどうズレるのか。結果が出たら続編を書きますね。

わが家の日々の電費データはEVデータ公開ページで毎日更新しています。サクラの正直なデメリットは3年乗って気づいたデメリット6つにまとめました🚗